聞き書 埼玉の食事 北足立台地の食より
■浅間さま(浅間神社の祭り)
六月中に小麦刈り、脱穀・調製をできるだけ終えて、七月一日の「浅間さま」を迎える。朝は、とりたての小麦で小豆あんの入ったまんじゅうをつくる。ほくほくしてなんともいえないおいしさだ。
この日は、今年生まれた赤ん坊がいたら浅間さまに連れて行き、小麦まんじゅうをお供えして、赤ん坊が足腰丈夫で、いずれ浅間さま(富士山)に行けるようにと祈る。また、赤ん坊が近所の子どもたちの仲間入りできるように、菓子屋でせんべいやあめ玉を買ってきて、半紙に包んでおひねりにして子どもたちに分けてやる。
昼は冷や汁うどんをつくって食べる。「朝はまんじゅう、昼うどん」とみんな口ぐせのようにいう。
写真:「浅間さま」の日のおやつ
左:せんべい、あめ玉/中:子どもにあげるおひねり/右:小麦まんじゅう
出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.169-171