初ものの小麦まんじゅうで祝う浅間さま―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年06月22日

聞き書 埼玉の食事 北足立台地の食より

浅間さま(浅間神社の祭り)
六月中に小麦刈り、脱穀・調製をできるだけ終えて、七月一日の「浅間さま」を迎える。朝は、とりたての小麦で小豆あんの入ったまんじゅうをつくる。ほくほくしてなんともいえないおいしさだ。
この日は、今年生まれた赤ん坊がいたら浅間さまに連れて行き、小麦まんじゅうをお供えして、赤ん坊が足腰丈夫で、いずれ浅間さま(富士山)に行けるようにと祈る。また、赤ん坊が近所の子どもたちの仲間入りできるように、菓子屋でせんべいやあめ玉を買ってきて、半紙に包んでおひねりにして子どもたちに分けてやる。
昼は冷や汁うどんをつくって食べる。「朝はまんじゅう、昼うどん」とみんな口ぐせのようにいう。

写真:「浅間さま」の日のおやつ
左:せんべい、あめ玉/中:子どもにあげるおひねり/右:小麦まんじゅう

 

出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.169-171

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
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