聞き書 大分の食事 日田盆地の食の食より
日田では盆前になると、魚屋の店頭にたらおさが並ぶ。たらおさは、本だらの胃とえらの部分をかちんかちんに干したもので、盆には必ずこの煮つけをどこの家でもつくる。
たらおさは二日くらい前から水につけ、何度も水をかえながら、やわらかくなったら一寸長さに切って水煮し、一度水をすててきれいに洗う。これをなべに入れ、水をひたひたに入れてゆっくりやわらかくなるまで煮て、砂糖と醤油でやや濃いめに味をつける。干したけのこも水にもどして一緒に煮る。
盆の前日には、あちこちの家からたらおさを煮るにおいが漂い、精霊さん迎えの準備に心せく。
出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.224-224