じゃみのからみを酒のさかなに―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年09月22日

聞き書 千葉の食事 九十九里海岸の食より

夕―麦飯、じゃみのからみ、大根なます、だんご汁
ふだん漁家の夕飯は早く、明るいうちに食べるので、急いで今日とれたじゃみを下ごしらえして、おとっつぁんの酒のさかなにじゃみのからみ(刺身)をつくる。また、大根のせん切りと酢漬のじゃみを酢味噌であえた大根なますは歯切れがよく、家内中喜んで食べる。ほかにも、面倒だが、じゃみをすり身にし、味噌を加えてだんご汁もつくる。よくだしが出ておいしい。
夕飯の用意をするとき、女は手まめに、明日のめっぱのおかずもつくっておく。大根の切り漬は、しその実の塩漬を少し入れてちょいちょいつくる。

写真:秋の夕飯
上:〔左から〕じゃみのからみとしょうが醤油、大根なます/下:麦飯、だんご汁

 

出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.17-19

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890024
発行日:1989/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
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