聞き書 埼玉の食事 川越商家の食より
■お月見
秋の彼岸のあと、すぐにお月見(旧八月の十五夜)がある。筆返しのついた経机の上に金物の三方を出し、白磁の器に一五個のおだんごを飾り、お酒も上げる。お月さまにちなんで丸いなりをした柿、栗、ぶどうなどをすすきやはぎとともに供え、暗くなって月が昇ってからお明かりをともす。
十五夜をした年は、必ず十三夜をしなければいけないといわれ、片見月は昔からきらう。ただし十三夜だけをするのはよしとされる。
写真:月見のだんご
宮岡家では金物でできた三方にお供えする。
出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.281-282