正月はもちと白飯でゆっくり骨休み―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年12月27日

聞き書 香川の食事 瀬戸内沿岸の食より

暮れと正月
十二月も二十日がすぎたら、もう仕事はしない。二十日は「はてのはつか」といって、昔罪人が殺された日とされ、縁起が悪いといって正月用の仕事はしない。翌日からすすはきや家の片づけをして、正月の準備をする。
二十八日にもちを搗く。二十九日は苦もちは搗かぬものといって避ける。もちを搗いたらもう正月気分で、新年の十日まで麦飯は炊かず、白飯を食べる。
元旦は山頂の尾崎大明神さんや家内の大神宮、仏さん、おいべっさんをおまいりし、家内安全、大漁を祈願する。しめ飾りはせず、床の間、神棚、仏壇に、うらじろ、だいだい、串柿、鏡もちを飾る。雑煮には丸もちを入れ、だしはもちろん、ふぐでとる。重ね鉢には黒豆、数の子、こぶ巻き、目刺し、煮しめをつくっておく。
七日日には水菜、ほうれんそう、ねぎなど、畑でとれた野菜を入れた雑煮を炊く。

写真:正月料理
〔左上から時計回りに〕煮しめ、数の子、ぼらの刺身、酒、雑煮、煮豆、こぶ巻き

 

出典:井上タツ 他編. 日本の食生活全集 37巻『聞き書 香川の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.279-280

関連書籍詳細

日本の食生活全集37『聞き書 香川の食事』

井上タツ 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900068
発行日:1990/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

じゃこだしで食べるさぬきうどん、さわらでつくる魚ばっつおのごちそう、行事に欠かせない鮒のてっぱい。讃岐三白の伝統をひく食べものと溜池からの恵みを聞き書きする。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事