聞き書 群馬の食事 赤城南麓の食より
■夕はん―煮こみうどんかおきりこみ、漬物
うどんの小麦粉をひくのは、おもに女衆の仕事である。水車の使える順番の日に二斗くらいずつひくが、半日くらいかかる。
うどんを打つのは、野良からあがってからで、まず最初に粉をこねてねかせておく。この間にへっついにうどんを煮こむ汁のなべをかける。ねかせておいたうどんをせいいっぱい力をこめて、手早く打ちあげる。早く夕はんにしなければならないので気があせる。娘のころから仕こまれているので手ぎわよく、たちまち打ちあげる。
寒い夜、赤城おろしのうなりを聞きながら、煮こみうどんやおきりこみ(幅広の手打ちうどんの煮こみ)を食べると、たちまちからだがあったまる。何杯もおかわりして食べる。
樺澤家では、夕はんも麦飯のときが半分くらいはあるが、一般では米を節約するため、一年中ほとんどがめん類で、忙しいときには、ねじっこ(すいとん)にする。粉を節約するために、ねじっこの中身(具)には、じゃがいもや野菜をたくさん入れる。
写真:冬の夕はん
煮こみうどん、白菜漬
出典:志田俊子 他編. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.221-223