つくしの卵とじ

連載日本の食生活全集

2022年03月16日

聞き書 愛媛食事 高縄山塊(鈍川)の食より


春の息吹きとともに、頭を持ち上げてくるつくし。ほんとうに愛らしく、子どもから大人まで野に出てつくし摘みを楽しむ。
摘んだつくしは、まずはかまをていねいに除き、あくを除くために、さっと湯を通す。いりこ(煮干し)のだしとともに煮こんで、溶き卵をさっとちらすと、見た目にも美しくて食欲が増す。味つけは砂糖と醤油。
日常卵を使うことはめったにないが、春の香りを味わうために奮発してつくるのが、このつくし料理である。

 

出典:森正史 他編. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.283-283

関連書籍詳細

日本の食生活全集38『聞き書 愛媛の食事』

森正史 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880452
発行日:1988/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

魚あふれる瀬戸内、宇和の海。春はいだが川面をさかだて夏はあゆが水底に踊る肱川。五穀ゆたかな山間の田畑。海、山、川、平野の四季の移ろいと暮らし、食をつぶさに描く。
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