甘酸っぱいほや、活きのよい磯魚─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年06月20日

聞き書 宮城食事 三陸南海岸の食より

朝―しらす飯、ほやの酢のもの、わかめの味噌汁、たくあん
ごはんのかてには、貯蔵のきく麦などの穀類はなるべく大事にし、季節のものを使うことにしている。五月までにとって乾燥しておいたしらすのかて飯は、しらすが多くて米は見えないくらいだが、とてもおいしい。ただし毎食続けると飽きるので、一日一食である。
ほやは、海中に潜ったり鉤を使ったりしてとるが、このころになると肉が厚くなり、すぐたくさんとれる。めんどうな料理もいらず、生で簡単に食べられるから、どこの家でもふんだんに利用する。一人でほや五個、どんぶりで一杯も食べる。ほやを食べて冷水を飲むと口の中にほのかなほやの香りと甘さが漂うので、「ほやを食べたら水を飲め」といっている。
磯に行ってきたときは、まるこなども味噌汁の実にする。

写真:夏の朝食
たくあん、ほやの酢のもの、しらす飯、わかめの味噌汁

 

出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.131-132

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集4『聞き書 宮城の食事』

竹内利美 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890062
発行日:1990/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

米どころ宮城は旧伊達藩以来の米どころで、もちの多彩な食べ方を誇る。三陸海岸では四季いろいろな魚貝がとれ、浜の人たちだけでなく、内陸の人々の食膳もにぎわす。
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