聞き書 宮城の食事 三陸南海岸の食より
■朝―しらす飯、ほやの酢のもの、わかめの味噌汁、たくあん
ごはんのかてには、貯蔵のきく麦などの穀類はなるべく大事にし、季節のものを使うことにしている。五月までにとって乾燥しておいたしらすのかて飯は、しらすが多くて米は見えないくらいだが、とてもおいしい。ただし毎食続けると飽きるので、一日一食である。
ほやは、海中に潜ったり鉤を使ったりしてとるが、このころになると肉が厚くなり、すぐたくさんとれる。めんどうな料理もいらず、生で簡単に食べられるから、どこの家でもふんだんに利用する。一人でほや五個、どんぶりで一杯も食べる。ほやを食べて冷水を飲むと口の中にほのかなほやの香りと甘さが漂うので、「ほやを食べたら水を飲め」といっている。
磯に行ってきたときは、まるこなども味噌汁の実にする。
写真:夏の朝食
たくあん、ほやの酢のもの、しらす飯、わかめの味噌汁
出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.131-132