秋の村祭りは手づくりの盛り鉢で―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2022年10月31日

聞き書 熊本の食事 阿蘇の食より

村祭り
稲刈り、稲こぎ、籾干しと、収穫の作業に精を出すと、十一月にはどうにか一段落するので、それぞれ決められている日どりで村祭りがはじまる。これには収穫のあとの骨休めや体力回復の意味も含まれ、「盛り鉢さかな」をつくり、親せき一同を案内して祝う。このときの料理には、必ず鯛の生きづくりを中心に、ちくわ、かまぼこ、刺身、つき揚げ(てんぷら)、羊かん、れんこん、やまいも、巻きずしなどを盛り合わせて出す。そのほかに、のっぺい汁、混ぜごはん、こんにゃくと白菜の白あえなどの菜ざかなが出される。
秋の夜長も祭りの客でにぎわい、久しぶりにゆっくりした気分になる。

写真:村祭りのごちそう、鯛の生きづくり

 

出典:小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.33-35

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870316
発行日:1987/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
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