聞き書 熊本の食事 球磨の食より
庭先にゆずの木が植えてあるので、色づくころになると、ゆべしをつくり、一年中漬物がわりに、茶うけに、山行き弁当のおかずに、焼酎のさかなに使う。星原家では忙しくてつくらないが、水上村地方では盛んにつくっている。
ゆずの上のほうを切りとり、中身を全部くりぬき、味噌、ごま、こしょうを混ぜて中に詰め、切りとったふたをして三〇~四〇分蒸す。
もろぶたに形がくずれないように並べ、二、三日干したあと、わらづとに包み、軒下にかけておく。二か月くらいおいて食べる。よく乾燥したものは長く保存できる。
食べるとき、薄く切って使う。
写真:ゆべし
ゆずに味噌を詰め、わらづとに入れて(左)、2か月ほど日干しする。
出典:小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.114-114