ゆべし

連載日本の食生活全集

2022年12月12日

聞き書  熊本の食事 球磨の食より


庭先にゆずの木が植えてあるので、色づくころになると、ゆべしをつくり、一年中漬物がわりに、茶うけに、山行き弁当のおかずに、焼酎のさかなに使う。星原家では忙しくてつくらないが、水上村地方では盛んにつくっている。
ゆずの上のほうを切りとり、中身を全部くりぬき、味噌、ごま、こしょうを混ぜて中に詰め、切りとったふたをして三〇~四〇分蒸す。
もろぶたに形がくずれないように並べ、二、三日干したあと、わらづとに包み、軒下にかけておく。二か月くらいおいて食べる。よく乾燥したものは長く保存できる。
食べるとき、薄く切って使う。

写真:ゆべし
ゆずに味噌を詰め、わらづとに入れて(左)、2か月ほど日干しする。

 

出典:小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.114-114

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870316
発行日:1987/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
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