たけのこの若い香りで春めく飯台――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年04月12日

聞き書 島根の食事 江の川流域の食より

山行き弁当――麦飯、こうこ、梅干し
山仕事は一年中ある。炭焼き、木挽き(伐り倒し)、木材の積み出し、田の肥料にする笹刈り、木こり(薪づくり)など、季節によって仕事は違うが、冬から秋まで山へはひんぱんに出入りする。
山へ行くときは、めんつ(曲げもの)、柳ごおりなどの弁当箱に麦飯と漬物くらいを入れていく。行商人が持ってくる干しめのは(干しわかめ)を少し持っていくこともある。焚き火でいびって(あぶって)飯にかけて食べる。山でのお茶は、くまざさの葉を焚き火で少しいびってやかんに入れ、わかして飲む。

写真:山でのひと仕事を終え、弁当を広げる

 

出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.155-156

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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