聞き書 愛知の食事 西三河(安城)の食より
■夕飯――したじ飯、澄まし汁、漬物
安城ではほとんどの農家が鶏を飼っており、卵を産まなくなるとつぶしてしたじ飯に使う。鶏肉に、にんじん、こんにゃく、ちくわが入れば上等で、ふだんは鶏肉とにんじん、あるいは油揚げとにんじんだけでつくることも多い。
したじ飯は、汁ものと漬物があればおかずはなくてもよいので、材料が手近にあればよくつくる。冷えたしたじ飯に熱いお茶をかけて食べると、これがまたうまい。
たまには豆腐を一丁買ってきて、澄まし汁にして漬物を添える。
また、夕飯をうどんにすることもあり、煮こみうどんやかけうどんを好んで食べる。鶏のがらをだしにすることもある。
まわりの木々が色づいて秋も深くなると、きのこが出る。近くのお宮さんで、しめじやぬめり(しめじの仲間、はないちく)、ほんばつ(おおむらさきしめじ)をとってきて、うどんに入れたりして季節の香りを味わいながら、家族団らんを楽しむ。
写真:秋の夕飯
膳内:たくあん漬、したじ飯、豆腐汁/膳外:梅干し、らっきょ漬
出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.201-202