生卵を飲んで張りきる運動会――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2023年09月29日

聞き書 鹿児島食事 南薩摩漁村の食より

運動会
小学校の運動会は、各部落ごとに集まって十月の一日をゆっくりと楽しむ。応援をしながらごちそうを食べ、酒を飲みながら終日をすごす。
前日に、つけあげ、かまぼこ、こが焼き、いかの煮しめなどをつくっておく。それに、米ん飯のおにぎりをつくり、ぼたもちまでつくって、大きな重箱に詰め、かかさんがにない棒で担いで出かける。
運動会の朝には、家に飼っている鶏の卵を子どもたちに一個ずつ生で飲ませて学校に出す。生卵は元気が出るといわれている。
運動会がすむと、からいも掘りや麦の植付けなどのほか、そろそろ正月の準備に忙しくなる。笠沙村の黒瀬に昔から伝わる杜氏の焼酎づくりの出稼ぎも、このころからはじまる。

写真:運動会の弁当
左の重:ぼたもち/右の重:かまぼこ、こが焼き、つけあげ、いかの煮しめ

 

出典:岡正 他編. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.71-71

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 鹿児島の食事』

岡正 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890055
発行日:1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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