大根飯がごちそうの秋――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年10月04日

聞き書 和歌山食事 紀ノ川流域の食より

昼――白飯、酢煎り、さばの塩焼き、味噌汁、漬物
田芋は、いもからずいきまでよく食べる。赤いものずいきは、夏の終わりころからとりはじめ、すじをとり、水にさらしてあくを抜き、酢を入れて煮ると赤いきれいな酢煎りになる。こいもや八つ頭は煮ものにする。
煮もののないときは味噌汁をつける。味噌汁の葉(実)のないときは、うち豆腐をつくる。くず大豆を石臼でひいて粉にしたものを水で練り、そのままを煮あがったおつゆに杓子ですくって浮かせる。だんご汁より味がよい。

写真:田刈りのころの昼食
上:田芋の煮もの、さばの煮もの/下:白飯、くき漬、酢煎り

 

出典:安藤精一 他編. 日本の食生活全集 30巻『聞き書 和歌山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.31-32

関連書籍詳細

日本の食生活全集30『聞き書 和歌山の食事』

安藤精一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540880582
発行日:1989/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 380頁

かつおの一本釣り漁で活気づく田辺湾、黒潮に乗ってくるまぐろ、鯨などが食卓をにぎわす熊野灘、ことあるごとにもちを搗き、すしをつくる紀ノ川流域など紀州の食の全貌。
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