聞き書 和歌山の食事 紀ノ川流域の食より
■昼――白飯、酢煎り、さばの塩焼き、味噌汁、漬物
田芋は、いもからずいきまでよく食べる。赤いものずいきは、夏の終わりころからとりはじめ、すじをとり、水にさらしてあくを抜き、酢を入れて煮ると赤いきれいな酢煎りになる。こいもや八つ頭は煮ものにする。
煮もののないときは味噌汁をつける。味噌汁の葉(実)のないときは、うち豆腐をつくる。くず大豆を石臼でひいて粉にしたものを水で練り、そのままを煮あがったおつゆに杓子ですくって浮かせる。だんご汁より味がよい。
写真:田刈りのころの昼食
上:田芋の煮もの、さばの煮もの/下:白飯、くき漬、酢煎り
出典:安藤精一 他編. 日本の食生活全集 30巻『聞き書 和歌山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.31-32