脂ののったさんまを焼いて――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年10月12日

聞き書 福島食事 石城海岸の食より

男たちは、たいていさんま船に乗りこんでいるが、休漁日に自分の伝馬船で延縄漁に出る。どんこ、黒がら、のどくろをとり、合い間に農作業を手伝う。主婦は、伝馬船の出し入れや、延縄の餌づけを手伝いながら、稲刈り、脱穀のほか畑仕事に忙しい季節である。

秋はさんま。豊間の浜でも、秋はさんまが一番。焼くのはもちろん、煮てもおいしい。とりわけさんまなべは、とりたてのさんまに、ねぎ、手ちぎりにしたこんにゃくを加えた味噌仕立てで、豊間の秋の味覚である。

写真:秋の夕食
上:さんまの煮つけ、大根の浅漬/下:麦飯、さんまなべ

 

出典:柏村サタ子 他編. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.289-289

関連書籍詳細

日本の食生活全集7『聞き書 福島の食事』

柏村サタ子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870972
発行日:1987/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

にしん漬・三五八漬を肴に会津の酒を酌む。うにの貝焼、あんこう料理は浜通りの名物。豊富な食素材を伝統の生活知が生かす「みちのくのまほろば」福島ならではの味。
田舎の本屋で購入

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