聞き書 神奈川の食事 足柄山間の食より
■秋祭り(十月十五日)
山梨県から神官が来て、須賀神社の境内で火渡りをする。村で万歳師や浪曲師を一泊させて一年中の笑いが吹き出すような一夜をすごすこともあれば、村芝居の一座を招くこともある。
女たちは前もって豆腐やこんにゃくをつくり、そばを打ち、保存しておいた川魚でつくだ煮をこしらえ、酒の用意もするのでほんとうに忙しい。お祭りだからこそ炊く白いごはんにはきんぴらが合うので、ごぼうは早掘りしてきてたくさん使う。
写真:村芝居を見にゆくときの弁当
麦飯、煮もの(凍み豆腐、しいたけ、にんじん、ごぼう、里芋など)、塩ます、たくあん
出典:遠藤登 他編. 日本の食生活全集 14巻『聞き書 神奈川の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.230-230