聞き書 香川の食事 阿讃山麓の食より
■弁当――麦飯、梅干し、たけのこの梅酢漬
山稼ぎに出かける人は、大きな柳ごうり(弁当入れ)の身とふたに二食分の麦飯をしっかり詰めていく。おかずはその日の難のがれに梅干し一粒。日がわりでたけのこの梅酢漬、味噌、こんこ、野菜もんの炊いたのも入れる。目刺しや煮干しが二、三尾入ると、ごっつおである。力仕事をするので、男衆はから塩を好む。おはしは山の木をけずってこと足らすが、「つつじは歯がつつく」といって避け、なべとうし(がまずみ)がよく使われる。使い終われば、その場で折ってすててくる。
写真:山稼ぎに持っていく弁当
出典:井上タツ 他編. 日本の食生活全集 37巻『聞き書 香川の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.111-112