夏野菜とにしんの煮つけが体力の源――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年05月22日

聞き書 奈良食事 斑鳩の里の食より

このあたりは気候が温暖で排水もよいので、野菜類には適している。夏は、なす、きゅうり、うり、じゃがいも、なんきん(かぼちゃ)など種類も多く収穫できる。
北海道からにしんを大量に売りに来る。干して束にしてある身欠きにしんをたくさん買い、つぶして肥料にするほか、よいところはおかずにする。
けんずい――おにぎり、しきしき焼き、ふかしじゃがいも
夏のけんずいは、新小麦を粉にひいて、砂糖と塩少々を入れて練ったものをほうらく(鋳物の平なべ)で焼いたしきしき焼きをよく食べる。ちょっと甘くして油で焼くととてもおいしい。このほか、焼きとうもろこし、トマト、まっか(まくわうり)なども楽しみである。

写真:夏のけんずい
おにぎり、焼きとうもろこし、ふかしじゃがいも

 

出典:藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.68-69

関連書籍詳細

日本の食生活全集29『聞き書 奈良の食事』

藤本幸平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540920035
発行日: 1992/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁

青丹よしといわれた奈良の都、法隆寺を仰ぐ斑鳩の里から山深い吉野・十津川郷まで、その歴史・民俗・食べ物を古老からの聞き書きと写真で記録。東大寺の結解(けっけ)料理など、各地の寺社料理も紹介。
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